Street Ball
ボーッと眺めていた襖が自然に開いたと思ったのは、翠が開けたからだった。


「お前な、家に入ってくる時は声ぐらいかけろよ。」


「だって美純さん寝てるでしょ?」


肩の上で二つに結んだ茶色い髪は、決まって緩い縦巻きだ。


午前中で学校をばっくれて来たと思われる翠。


高校に通う意味を見出せなかった俺が、学校に行けとは口が裂けても言えない。


「ご飯食べにでも行こうよ。」


付き合うってこういう事なのかな?


自問自答しながら着替えを済ませ、翠と街に向かった。
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