空の上の君に届け
夢
とある夏の日の放課後、
ある公立高校の2年8組の教室に
良太(りょうた)と翔(しょう)は
2人で残っていた。
教室にはこの2人以外誰もいない。
とても静かで、窓の隙間から
夏風が入りこんでくる音が聞こえる。
カーテンがたなびき、遮られてた
夕日が静かな教室を照らした。
その光に顔を照らされ
眩しそうな表情をしながら
良太は口を開いた。
「最近カラオケ行ってないなぁ。」
そう呑気につぶやく良太に
呆れた顔で翔が言った。
「また? 頻繁に行ってるじゃんかよ。
そのセリフ何回も聞いたぜ?」
「あれ? そうだっけ?」
と、とぼける良太に翔は
「カラオケばっか行ってさー。
暇人め、勉強しろ!」
と、唾を吐くように言った。
すると良太は口を尖らせ
「暇じゃない! 趣味で行ってるんだ!」
と、大声で怒鳴った。
暇人扱いされたのが相当嫌だったのか
顔を赤くして拳を握っていた。
その反応に翔は、一瞬驚いたものの
次の瞬間にはプッとふき出して
「ガキみてぇだな!」
と、腹を抱えて大笑いしていた。