聖夜に降る奇跡


そんな中で、たまに話す彼女自身の話から、彼女が既婚者で子どもがいることを知った。

そこで僕は、彼女にますます安心感を覚え、恋愛相談もするようになっていた。

しかし、その想いは叶わぬまま終わる。

そんな僕に、彼女は慰めの言葉なんかかけてはくれない。
メッセージには『よく頑張ったで賞』のタイトルと、中身もシンプルに“頑張ったね”と一言。
でも、綺麗な一輪の花の写真が添えられていた。

直接的な気休めの言葉はなくても、僕を励まそうとする心遣いに、彼女の温かい気持ちが伝わる。

だから、僕は彼女への返信に思わず弱音をこぼした。
そして、最後に

“もし、メイさんが僕の目の前にいたら、僕はきっとメイさんの胸の中で泣いてしまう”

そう付け加えた。

それに対して、直ぐに戻ってきた彼女からのメッセージには、

“それならば、私はこの腕でヨウスケさんを抱きしめるよ”

と、付け加えられていた。


僕は、彼女の優しさ触れ、失恋の痛みと共に、抑えていた涙が溢れ出す。


と、同時に、

僕は初めて彼女に会いたいと思った……


それからも、彼女は日常の何気ない話や、彼女が見た素敵なものを写真に収め、それをたびたび送ってくれた。

それは、確実に僕の心を軽くしていく。

そして次第に、送られてくる写真で、文字以外に彼女と同じものを視覚で共有できることが嬉しいと感じ始めた。



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