雪だるマフラー

名誉も地位も職もお金も全て捨て、何もかも白紙にする事を条件で一緒にいられるならきっと私は躊躇することなく棄てられるだろう。
だけど彼は私をそこまで想ってくれているのかなんて知らない。

彼の本音は聞いたこともないし、聞こうともしない。
だけど私を愛しい人と呼び、付き合ってもう少しで一年だという彼を信じている自分がいる。


「……愛してる。」

「私も凄く……。」


要らないと思っていたクリスマスプレゼントは、形ではなく私に対する目に見える愛情表現が欲しいと思うようになってきた。
言葉の愛情表現は沢山貰ってきた。だから今度は行動で私に見せてくれる?

家族優先にする貴方が聖なる夜のクリスマスの日、私と一緒に過ごして欲しい。

私本当は知ってるんだ、プレゼントを渡そうとしている理由。



当日会えない代わりに欲しい物を渡すから、だからそれで勘弁して欲しい。

彼の口から聞かなくてもわかっているよ。舞ちゃんの誕生日、奥さんの誕生日、イベント事は必ず私と会える日でもキャンセルしていたから。

なのに私を愛した理由は彼にしかわからない事。


「欲しい物決めた?」

「欲しいのは………。」


家族優先の貴方が私を優先してくれる時間。サンタさんだって、これくらいは叶えてくれるでしょ?

小さくて大きな私のワガママ、普段は良い子で通しているの。これくらいは叶えて欲しいよ。
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