雪だるマフラー
「先生~!見てみて~!!雪ダルマ~!」
「あらっ上手だね。由美ちゃん、頬っぺた真っ赤だよ!?寒かったでしょ?」
小学生の由美ちゃんが小さな手でも持ち運べられる程の雪ダルマを教室に持ってきた。
暖房をつけても冷えるなと思っていたけど、窓を見ると大きな粒の雪が降っている。
いつの間にこんなに降っていたんだろう。歩道には足跡がつくほど積もっていて、雪かきしている人もチラホラ見える。
「由美ちゃん、雪ダルマさん溶けるから窓の外に置こうか?」
「うん!雪ダルマ寒いの強いから外に置いても大丈夫だね!」
一年生の由美ちゃんは心が和むくらいに純粋無垢で可愛くて仕方ない。付き添いで一緒に来た母親はドアの外で申し訳ない顔で頭を下げているが、雪ダルマが溶けて床がビショビショになるより冬のインテリチックに外に置いた方がマシだ。
渡された雪ダルマを外側の窓の縁に倒れないようにバランス良く置いて、石と木で作られた顔がこっちを見てるようだ。
「可愛いね。由美ちゃんみたい。」
「違うよ、アレ先生だよ。」
ニコニコしながら由美ちゃんが言ってくれる。本当に可愛い。いつかもし、子供を産む時がくれば由美ちゃんみたいな素直で優しい女の子を産みたい。
今のままじゃそれは叶わない夢だけど、実現するのであれば彼の子供を産んでみたい。
三人で川の字で寝て、彼がしていた様にイベント事を大事にしてくれるそんな家庭を作ってみたい。
雪ダルマが笑ってる。