雪だるマフラー

渡されたハンカチを四つ折りにして雪ダルマの首に外れないように強く巻いてあげた。
このままにしていたらハンカチも凍ってしまうけど、緩んで飛ばされた方がマズイ。


この雪ダルマ、先生だよ


由美ちゃん、この雪ダルマは先生じゃないよ。この雪ダルマは由美ちゃんみたいに暖めてあげようとしている子がいるんだもん。

先生にはね、きっと居ないと思うよ。

溶けて消えそうになっても守ってくれる人は居ないと思うよ。
彼はきっとね、消えそうになる私にマフラーを渡してくれないと思うよ。

マフラーを巻いた雪ダルマの外、空は暗い筈なのにイルミネーションの光で紫色に染まっている。


「クリスマスプレゼントは……。」

「先生~!さむーい!!」


危うく独り言を呟いてしまった瞬間、頭に雪をのせた生徒が慌ただしく教室に入ってきた。気持ちを切り替えなければ。


「凄い雪だね~?」


マフラーを巻いた雪ダルマを今度はわざとに見ないようにした。
何故だか自分が酷く惨めな存在なんだと思ってしまいそうだった。


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