Snow mirage

雰囲気のいい店を覗きながらイルミネーションを楽しめる駅前通りには、毎年クリスマスシーズンになるとカップルを中心に大勢の人が集まる。

私とルイと名乗る彼は、肩を寄せ合う恋人達に紛れて、メイン通りのイルミネーションを見ていた。

隣を歩くルイは濃い緑色の瞳を輝かせながら、付いては消えるイルミネーションの光を物珍しげにずっと見上げている。

その様子は初めてのものに触れたときの子どもみたいだ。

クスリと笑うと、彼が私を見て不思議そうに首を傾げた。


「こんなもの、毎年似たり寄ったりでしょ?それなのに、まるで初めて見るみたいな顔してるから」

私がそう言うと、彼はやっぱり不思議そうに小さく瞬きをした。


「初めてだよ」

返ってきた彼の言葉に一瞬耳を疑う。

首を傾げながら真顔で答える彼は、本気でそう言っているみたいだった。


< 13 / 25 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop