Snow mirage
雰囲気のいい店を覗きながらイルミネーションを楽しめる駅前通りには、毎年クリスマスシーズンになるとカップルを中心に大勢の人が集まる。
私とルイと名乗る彼は、肩を寄せ合う恋人達に紛れて、メイン通りのイルミネーションを見ていた。
隣を歩くルイは濃い緑色の瞳を輝かせながら、付いては消えるイルミネーションの光を物珍しげにずっと見上げている。
その様子は初めてのものに触れたときの子どもみたいだ。
クスリと笑うと、彼が私を見て不思議そうに首を傾げた。
「こんなもの、毎年似たり寄ったりでしょ?それなのに、まるで初めて見るみたいな顔してるから」
私がそう言うと、彼はやっぱり不思議そうに小さく瞬きをした。
「初めてだよ」
返ってきた彼の言葉に一瞬耳を疑う。
首を傾げながら真顔で答える彼は、本気でそう言っているみたいだった。