そしてまた、キミに。
「なぁ、教科書見せてくれへん?
今日来たところやから
俺の教科書まだないねん。」
「…教科書」
坂口さんは自分の机の中から
全ての教科書を上に出した。
「どーぞ」
「…え?
いや、全部はいらんでっ
次の授業のやつだけで大丈夫!」
「…次の授業って何だっけ」
「え、坂口さん知らんの?
今日来た俺に聞いたらアカンやん(笑)」
宮本先生にもらった時間割表をみる。
「古典やって!」
坂口さんは教科書の山の中から
古典の教科書を取ると、
「はい」
と言って俺の机に置いた。
「ありがとう。
机くっつけるから一緒に見させて」
自分の机を坂口さんの机に寄せていると、坂口さんが言った。
「…ううん。いーよ。
アタシ教科書いらないから」
え?
「嘘やん。
坂口さん勉強するきないやん(笑)」