そしてまた、キミに。




「坂口さん…一つだけ聞いても、いい?」


頷く坂口さん。



「…なんで雨、嫌いなん?」


少しの沈黙のあと、
坂口さんがゆっくりと言葉を紡いでいく。



「…次の日の朝、雨が降ってたの。


何一つ受け入れられないまま朝がきて…
テレビから聞こえてくるニュースから逃げたくて家を出たら、雨が降ってた。

走って学校に向かってたんだけど、電気屋のテレビからもニュースが聞こえてきて…


雨の音を聞くと、その時の気持ちを思い出して…怖くなるの。


怖くて怖くて仕方なくて…
だから…」


「坂口さんっ…
ごめん、俺が悪かった」


なんでこんなこと言わしてるんやろ、俺。
ホンマあほや…


「ごめん、もういいよっ…
それ以上言わんでいいから」


だけど、坂口さんは首を横に振って
「大丈夫」と言った。


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