そしてまた、キミに。
そして、今までで一番柔らかい笑顔で微笑んだ彼女は、
俺の肩に頭を預けてこう言った。
「…ありがとう」
坂口さんがそんな風に笑うから。
坂口さんがそんな風に言うから。
俺は、もっともっとって…思ってしまう。
もしかしたら俺は、
さみしげな表情の奥に隠されたこの笑顔に
心を奪われたのかもしれない。
「なぁ、…ぎゅーってしていい?」
「…ダメ」
大きな音と共に一瞬の輝きを放っては
夏の夜空を彩る。
その光に照らされる二人は、
消えゆく一つ一つの光を目に焼き付けるように静かに空を仰いでいた。