神様町一丁目一番地【短編】
その夜、
僕は中々寝付けなかった。
カブとお別れをしたのに、
まだ、僕はカブが死んだって
思えなかった。




だからーーー




僕は二段ベッドの上からそぉーっと
音を立てずに降りると、
あっくんを起こさないように
そっと、部屋を出た。




リビングを抜けて玄関へ向かう途中、
チワワのポロンが僕に気づいて
尻尾を振りながら近づいて来たから、
僕は慌てて人差し指を口に当て、
「ポロン、ハウスして待てだよ。」
って、小声で言った。




ポロンは僕の思いが分かったのか、
それとも、散歩に連れてってくれる
訳じゃないってことを理解したのか
大人しくリビングの隅に置いてある、
自分の小屋へと戻った。




「ポロン、いい子だね。」




僕はポロンを一度誉めてから、
そぉっと、玄関へと向かった。




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