神様町一丁目一番地【短編】
「カブっ、お前やっぱり
生きていたのか?」




僕は興奮しながらカブに聞くとーーー




「いえーーー、僕はもう
死んでしまったんですよ。」




と、カブは答えた。




「えっ、でも……。」




僕が疑問に思ったことを
カブは分かってくれたらしく、



「しょうちゃん、いいですか?
生きているものには必ず″寿命″という
ものがあります。」




「ジュミョウ?」




「そうです。カブトムシの場合、
特に何事もなく生きた場合、
大体、幼虫から成虫まで一年です。
それがカブトムシの寿命です。」




「じゃあ、やっぱりカブは
死んじゃったの?
だけどおかしいよ。
ここを今、掘ったけど
カブ居なかったじゃないか。
それに今だって、木の枝に止まってるし……。
それって生きてるってことでしょ?」




「…………しょうちゃん、分かりました。
しょうちゃんにだけ、本当の事を言いましょう。」




「本当の事?」




僕はカブが話すのを待った。




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