復讐
僕が10歳の時だった。父に呼び出され、
去勢をするように言われた。

「宦官になれば後宮に入り、政治関係の仕事をすることが出来る。そうすれば金をたくさん稼げて裕福な生活が出来る。だが、恋愛はおろか、結婚することは出来ぬ。お前にはつらいことかもしれぬが・・・。」

僕は、裕福な生活を送り、両親には楽をさせたかった。
だから玉蘭との恋が実らなかったとしても僕は・・・。


この日、激しい痛みが僕の下半身を覆った。
布で手足を縛られ、口には猿轡をはめられた。
専用の刃物で僕の体の一部を切除したのだ。

あまりの激痛に僕は失神した。だけど・・・
これほどの痛みならいっそ死んだほうがマシだと思った・・・。



母の病気ももう治らない。
父の体力も限界だった。
みんなここで死んだほうが良い・・・。


それでも一家心中することなく程なくして僕だけが後宮に入った。


後宮に入る前、立ちしょんが出来なくなった僕は
厠の前で一人しゃがみこんでいた。

すると家の開いた窓の隙間から父のすすり泣きが聞こえた。
「すまん・・・青星・・・ふつうの男として
生活をさせてあげられなくてすまん・・・。」
僕はいたたまれない気持ちでいっぱいだった。

そして決心をした。


後宮に入り、猛勉強の末、
僕は科挙の試験に合格し、見事宦官になったのだった。
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