復讐
私は、いつもの野原に行くと木刀を振って稽古する俊柵が目に入った。
「俊柵!!」
私は、彼の元に駆け寄った。

「本当に・・・戦に参加するの?」
彼を見上げると彼は「あぁ。」と言って手を下ろし、私を見下ろした。

「皇帝陛下が率いる兵だよ?数だって倍以上だし、軍事力もないただの村人に勝利なんてないのに。」
「でも、やるしかないだろ。」
「俊柵・・・・。」

私は涙を必死に堪えた。俊柵が死ぬかもしれない。行かせたくない、どこにも・・・・。
ずっと離れずに私のそばにいて欲しい。そう思ってても声が出なくて・・・

「大丈夫。」
うつむいていた私は顔を上げると微笑む彼の顔が目に入った。
「必ず、生きて帰るから。約束」

彼はふっと笑うと私に聞いた。
「そしたら俺と・・・・」

ぶわっと風が吹いた。
「え!?何?」
彼は、首を振るとなんでもないと言ってごまかした。
「え~、なんなのよ。」

ははは、と彼は笑うと私を強く抱擁した。
「暁雲・・・・」
「俊柵?」
「だから、お前も無事でいろよ。」

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