顔をあげて
「寂しい背中みっけ♪」

ふりむくとみんな帰ってがらんとした道で一樹が両手を広げてにっこり笑っていた。

私は何も考えず体が自然とゆっくり一樹に歩みより一樹の胸に少し腫れた頬をひっつけた。

一樹は「今日は素直だね。」とふわりと抱きしめてくれた。
「いたかっただろぉ。…礼羅の顔に傷つけやがってあいつら許さねー。無事でよかった。…それと俺を止めてくれてありがとう。あのままじゃ本当に殺していたかもしれない。」

あの時の一樹の目は私も背筋が凍った。
「助けてくれて…あっあり…がとう。」
素直にうまくゆえない自分がすごく嫌でたまらなくなった。

そんな私の頬をあげ一樹は、
「当たり前。俺はお前のヒーローだから。」

と自分でかっこつけといてヒーローって言葉に一人で笑っていた。




一樹は私のヒーローだよ。
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