顔をあげて
ぐんぐん手をひっぱられる。自転車に「のれ!」と無理やり後ろにのせられ、理沙は必死にこいでいる。

理沙の必死な姿、日頃の可愛い姿と違ってすごく強い女にみえた。


今はちょうど昼休みだったみたいで、生徒がうろうろしている。
不良の集まる男子校で有名なだけあって柄の悪い人たちがじろじろみてくる。

理沙はかまわず、私の手をひき門をくぐり堂々と学校に入ろうとする。

『理沙の手…震えてる。』

理沙ありがとう、礼羅のために…


「理沙、ありがとう。」

「…え?」

「礼羅、向き合ってくる。聞きたいこと聞いてすっきりしてくる。どんな結果であれこのままじゃだめだから。」

「よし!礼羅覚悟きめたね!じゃぁ頑張ってぶつかってこい!…理沙は靴箱で待ってるから。」

「っておい!ついてきてくれないの!?」

「これは礼羅と一樹君の問題でしょ!」

「そうだけど…」

「弱い女だね~さっきの意気込みはどうしたんだよ!」

「よーし、やってやるよ!そこでまってな!女は度胸!はぁん、男子校がなんだってんだ!」

私は意気込んで学校の中にのりこんだ。

そんな私の様子をみて理沙は涙を浮かべて笑っていた。

「単純なんだよなぁ(笑)」
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