兄弟的同性愛事情
「ねぇ!」
「あっ、え…?」
「もうっ!帰らないの?」
帰る…?
いつのまに俺、教室にいるの。
え、いつのまにホームルーム終わったの。
全く記憶にないんだけど?
どんだけボーッとしてたの、俺。
クラスの人達はもういない。
「ほら、行くよー!」
…
「小此木さん、もしかして待っててくれたの?」
俺が聞くと、小此木さんは頷いた。
「だって、置いていったら可哀想じゃん」
「ありがと、おこ「百那」
え?
いきなり顔を近づけられて、俺は背中を反らした。
大きな瞳が俺を見つめる。
「私の名前。百那か、ももって呼んでくれないと返事しないから♪」
「はっ?!?」
「じゃ、ももで決定ね!はい、呼んで」
いや、急すぎて何がなんだか…。
困ったなー。
小此木さん、なんかすごい期待した目で見てきてるし…
名前くらい、なんでもいーか。
「…もも」
見つめてくる瞳を見つめ返して言うと
「か、帰るよっ!!!」
ももは急に顔を反らして、スタスタと歩いていった。
はぁ…?
なんなんだよ?
呼べってそっちが言ったくせに。
…変な奴。
ももの後を追って、俺も教室をあとにした。