兄弟的同性愛事情



なんだ、あいつ。


兄ちゃんの友達にあんな人いたっけ?


兄ちゃんの隣にはいつも秀兄ちゃんがいたから、正直あそこまで仲が良い友達は兄ちゃんには一人しかいないかと思っていた。


なのに突然現れたアイツ。ハルヒ。


まるで秀兄ちゃんよりも親しいかのように兄ちゃんに接していた。


ずっと仲が良かった人なのかな?


でも、一度も名前すら聞いたことなかったし、9月の今ごろになって存在に気づくっておかしくないか?




『もらうね?』



「ぁぁあぁぁぁあもう!!!くっそ…」


俺の前なんだぞ?


兄ちゃんの恋人は俺だろ?


なんでそんな奴の隣にいるんだよ。


腕なんか組んじゃって。


俺とだって、そんなこと人前でめったにしてくれないのに…。




『ハルヒ』




アイツの名前を優しく呼ぶ兄ちゃんがそこにいて


歩いていく二人を引き止めることもできない俺がいる。


兄ちゃんとの間にできた溝は、きっと俺が思っていたよりもずっと深かったんだ。


アイツはきっと全部知ってる。


俺と兄ちゃんとの間に起きたことも、俺たちの関係も。


言ってくることが明らかに知っている人しか知らない内容だったし。


全部兄ちゃんがアイツに話したのか?


秀兄ちゃんにも俺たちのことは詳しく話さないのに。


行為を拒絶したことなんてない。


浮気もしてない。


なんであんな勘違いされてんの?


ハルヒって奴が兄ちゃんに変なふうに吹き込んだに決まってる。


「ふざけんな」


誰が渡すか。


兄ちゃんは俺のだ。


苛立ちを消すように廊下の壁を叩いたとき、


「うぎゃあっ!!?」


ちょうど後ろにももがいて、変な声を上げられた。




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