兄弟的同性愛事情




校門の前に、人が二人立っていた。


…あ。


今頃思い出した。


兄ちゃん達と帰る約束してたんだった。


「李桜、遅い」


「ごめん、兄ちゃん」


よかった。怒ってない。


兄ちゃんと秀兄ちゃんは、不思議そうに俺の左の方を見る。


俺の左にいるのは…


「あれ~?」


秀兄ちゃんがももにズイッと近づく。


「李桜が女の子連れてるなんて、今日雪でも降るのかな?」


「秀兄ちゃん、それどーゆー意味?」


雪なんて、春には降らないけど?


ももは秀兄ちゃんに近づかれて動揺しまくり。


それを見て、秀兄ちゃんは楽しそうに笑った。


…この、サド。


昔から、優しいんだけど


秀兄ちゃんは根っからのドS。


こうやって、誰かをからかうのが秀兄ちゃんの生き甲斐と言っても、過言ではない…かも。


いや、過言か。


「ぁの、小此木 百那と申します!」


「秀兄ちゃん、ももから離れて。困ってる」


秀兄ちゃんはかなり驚きながらも、ももからすぐに離れた。


「百那ちゃんていうんだ!よろしくねー」


「あっ、はいっ」


お辞儀をして、よろしくお願いしますと言うももを見て、秀兄ちゃんがまた虐めたそうな顔をした。


この人は…ホントに、なんかもう…


「…帰る」


「えっ、兄ちゃん?!」


一人で歩き始める兄ちゃんの後を追って、俺は小走りした。


「百那ちゃんも、帰るよー」


「えぇえ?!?」


後ろから二人の声が聞こえる。


いつも俺の隣を歩いてくれる兄ちゃんは、今日は俺より先を歩いていく。



< 11 / 126 >

この作品をシェア

pagetop