兄弟的同性愛事情
校門の前に、人が二人立っていた。
…あ。
今頃思い出した。
兄ちゃん達と帰る約束してたんだった。
「李桜、遅い」
「ごめん、兄ちゃん」
よかった。怒ってない。
兄ちゃんと秀兄ちゃんは、不思議そうに俺の左の方を見る。
俺の左にいるのは…
「あれ~?」
秀兄ちゃんがももにズイッと近づく。
「李桜が女の子連れてるなんて、今日雪でも降るのかな?」
「秀兄ちゃん、それどーゆー意味?」
雪なんて、春には降らないけど?
ももは秀兄ちゃんに近づかれて動揺しまくり。
それを見て、秀兄ちゃんは楽しそうに笑った。
…この、サド。
昔から、優しいんだけど
秀兄ちゃんは根っからのドS。
こうやって、誰かをからかうのが秀兄ちゃんの生き甲斐と言っても、過言ではない…かも。
いや、過言か。
「ぁの、小此木 百那と申します!」
「秀兄ちゃん、ももから離れて。困ってる」
秀兄ちゃんはかなり驚きながらも、ももからすぐに離れた。
「百那ちゃんていうんだ!よろしくねー」
「あっ、はいっ」
お辞儀をして、よろしくお願いしますと言うももを見て、秀兄ちゃんがまた虐めたそうな顔をした。
この人は…ホントに、なんかもう…
「…帰る」
「えっ、兄ちゃん?!」
一人で歩き始める兄ちゃんの後を追って、俺は小走りした。
「百那ちゃんも、帰るよー」
「えぇえ?!?」
後ろから二人の声が聞こえる。
いつも俺の隣を歩いてくれる兄ちゃんは、今日は俺より先を歩いていく。