兄弟的同性愛事情
1週間が経ち、2週間が経とうとする。
あの日から、兄ちゃんの顔を見れたのは1度だけ。
全校集会のときに司会をしていた兄ちゃんを、何十メートルも離れた場所から人影の隙間から見れたきり。
帰ればドアノブに食材といくらかお金が入った茶封筒が掛けてあることがある。
その度に兄ちゃんに連絡をしようと思うんだけど、思うだけで1度も行動に移せたことがない。
たった2週間。
まだ、たった2週間。
それだけで自分がここまでダメになるとは思わなかった。
ろくに食事ができなくて、精神的にも肉体的にも限界だった。
もう風が冷たくなってきた。
廊下の窓から入ってくる風が俺の頬をかすめる。
もうすぐ秋がくる。
隣にはももとライトがいる。
それなのに、…俺は贅沢なのかな?
隣に居てほしいのは兄ちゃんだけなんだ。
兄ちゃんじゃないと嫌なんだ。
目眩がする。
最近なにも食べてないからか、気を抜くと倒れそうになる。
酷い頭痛がする。
耳鳴りも。
世界が霞んで見えるんだ。
「李ー堵っ!はーやーくー!焼きそばパン売り切れちゃうよ!!」
「ハルヒ、そんなに急がなくても大丈夫だよ」
ー!!!!!!
50m程先、階段降りてすぐの所に、兄ちゃんと…ハルヒがいた。
「兄ちゃんっ…」
追いかけようと踏み出した瞬間、
体が動きについてきてくれなくて、俺は倒れた。
…けど、体に痛みはなかった。
懐かしい香りに包まれる。
その香りはふんわりと俺を支えてくれた。
「李桜っ!!大丈夫か?!?」
「…しゅーにぃ…」
まともに話すのはいつぶりだろう。
全く接点がなくなって、もう関わることもないのかと思っていたくらいだ。
それでもやっぱり、昔からの付き合いだからかな?
なんだかすごく安心して、俺は眠るようにゆっくりと意識を手放した。