兄弟的同性愛事情
~李堵side~
まるで西洋の様な豪邸の2階の隅。
部屋の中がほぼ白で統一されているこの部屋は、ハルヒの部屋だ。
往なれてきたこの部屋にも、最初はやっぱり慣れなくて、何度も家に帰りたくなった。
住み慣れてからは、この部屋にある大きなソファーが俺の定位置になった。
大の字にはなれないが、俺が寝転がっても余裕のあるほど大きなソファー。
大抵はハルヒが横にいて、お菓子とか食べながら勉強したりテレビ見たりして過ごしている。
今はハルヒがバイオリンの稽古にいっているから俺は一人の時間をのんびりと過ごしていた。
寝そうになっているとき、テーブルの上に置いていたケータイが鳴った。
「もしもし?」
相手の名前を見ずに電話に出ると、かえけてきたのは秀都だった。
『李堵?李桜が倒れたから俺の家に運んだんだけどさ、お前、ハルヒの家いるの?』
「李桜、大丈夫なのか?!」
考えるより先に口が動いた。
『まだ寝てるよ』
心配いらないと言われて、安堵して息を吐く。
李桜という名前すら久しぶりに聞いたのに、一瞬で体温が戻ってくるような感覚がした。
『…なんでだかわからないけど、お前が好きなのは李桜なんだろ?ハルヒに変な気持たせるなよ』
言われなくたってわかってる。
自分の気持ちくらい、自分が一番理解している。
俺の心の中には李桜しかいなくて
離れて疎遠になっても気持ちは消えることはなくて、それどころか大きくなりすぎて押さえるので精一杯だ。
今だって、今すぐ会って抱き締めたい。
『我慢してたけど、お前も李桜も…もう見てられないんだよ』
本気で心配してくれているのはわかっている。
華恋も秀都も俺たちのことを自分のことのように考えてくれている。
…けど、無理なんだ。
「悪いけど、俺とハルヒの問題なんだ。解決するまで口出ししてこないでくれ」
しばらく沈黙した後、秀都はわかったと言って電話を切った。
「はぁ…」
電話の向こう側に李桜がいた。
それだけでたまらない気持ちになる。
会いたくて、触れたくて、気持ちが焦がれて仕方ない。
「好きだ…」
李桜…
「誰が好きなの?李堵」
凍りつくような冷たい声が俺の後ろから聞こえた。
暗くなった部屋の電気をつけて、俺の隣へ歩いてきて抱きついてきた。
頬を擦り付けてくるそのしぐさは、まるで猫だ。
「驚かすなよ、ハルヒ」
頭を撫でてやると、さらに強く抱きついてきた。
「李堵は僕のだよね?」
「…ハルヒ、俺は「そう簡単には許さないよ?」
ハルヒは俺を睨み付けてから、いつものようにニッコリと笑った。