兄弟的同性愛事情
*嘘の真実
~李堵side~
許されないことをした自覚は…ある。
自分がうっすらとしか覚えていない記憶にハルヒがいたことも
その記憶に隠された事故のことも
言われても気づけないなんて最低だ。
俺は事故でハルヒとの記憶がなくなって、忘れていて当たり前だとハルヒに言われた。
ただ、忘れていていい訳がないんだ。
ハルヒを抱いたあの夜、俺は全て聞いた。
ハルヒが今の家に養子縁組で引き取られたこと。
それまでに至る経緯。
そして、右肩から腰にかけて斜めにある背中の大きな傷跡の理由。
初めは信じられなかったけど、ハルヒが俺に嘘をついて得することはない。
たぶん、傷は本当に俺のせいなんだ。
家に居場所がなく、こんな傷を抱えたままではずっと一人だと言ったアイツに俺は同情したんだろう。
涙を流すアイツを放ってはおけなかった。
ちょうど、俺は少しでも李桜のことを考えないで済むようにしたいと思っていた。
お互い利用できればいいと思った。
けど、その関係はどんどん歪な形になって
「この傷のせいで誰からも愛されなくて僕は独りなんだよ?李堵だけ幸せになるなんて許さない」
日が経つにつれてハルヒは変わっていった。
本心が見えてきたのかもしれない。
今までのハルヒは猫を被っていただけであって、これが本当のハルヒ。
罪悪感でいっぱいになった。
李桜の元に帰る勇気もない俺は、黙ってハルヒを抱きしめる。
好きだとは言わない。
ただ、求められるからセックスはする。
そうでもしないと、ハルヒが消えてしまう気がした。
けど、本当は秀都と通話して以来李桜に会いたくて仕方なくなっている。
ハルヒに同情して捨てられない自分と、李桜を抱きしめたくて求めている自分。
天秤にかけたら後者の方が普通は重くなる。
それでもハルヒのところにいるのは、李桜がもう俺のことを受け入れてくれない気がするからだ。
どこまでも自分勝手。
しばらく傍にいれば離してくれると思ってここに来たけど、離してくれそうにもない。
解決できると思ってここに住み着いたが、どんどん後戻りできなくなっている。
ハルヒに対する情は深まるばかりで、李桜に対する愛情は膨らむばかり。
優柔不断とはこうゆうことだ。
どちらにもいけずにズルズルと引きずってばかりいる。
生徒会が解散して、秀都とはどんどん疎遠になっていっていた。
クラスが離れたことが大きな原因だけど、かえって気が楽だ。
傷心中の李桜の隣には絶対に秀都がいる。
李桜はどうしてる?
最近は元気なのか?
また泣いてるんじゃないか?
アイツに会ったらきっと、考えないようにしていた事が溢れて止まらなくなる。
ハルヒへの気持ちに全てを塗り替えられたなら、どれだけ楽になるだろう。
「化学わからなくて困っちゃうよね~」
ハルヒの何気ない会話に適当に返事をしながらサンドイッチをかじる。
学校なんてつまらなくて、李桜に好かれたいがためだけに演じてきたキャラは何処かへ消えていた。
距離を取ろうとしただけだけど、もう別れているも同然だろう。
こんなヤツにいつまでも執着するくらいなら、秀都に乗り換えるに決まってる。
アイツは作ろうとしなくても素がいいやつだし。
こうゆうこと考えている時点で性格の悪さが滲み出てる。
恋はもっと綺麗なものかと思っていたけど、想像以上にドロドロしていて醜いものだ。
自分がこんな人間だとは思わなかった。
「…ねぇ、李堵」
「え?なに?」
「だから、日曜日デートしよ?見たい映画があるの」
「いーよ」
「やった!!」
ハルヒは少し李桜に似ている。
小さくてニコニコしてて犬の様に懐いてくる。
それが心地よかった。
大事にしてやらなくちゃいけない。
李桜と違って、秀都の様な存在がいないハルヒは俺がいなくなったら独りだ。
少しずつでいい。好きになれるように努力しよう。
幸い、俺とハルヒは相性がいい。
一緒にいて楽だし楽しい。
李桜といるときのように、醜い自分を見つめる必要がなくなるだけで安心した。
このまま戻らないほうがお互い幸せだと思う。
李桜もそう思ってるはずだ。
そう思いながら、LINEを開いて李桜との会話を見返した。
最後の会話はもう随分前。
元々連絡はまめではないから、残っている会話は本当に少ない。
「はぁ…」
ケータイの電源を落とすと、真っ黒になった画面が鏡の役割をして俺の後ろを映し出した。
許されないことをした自覚は…ある。
自分がうっすらとしか覚えていない記憶にハルヒがいたことも
その記憶に隠された事故のことも
言われても気づけないなんて最低だ。
俺は事故でハルヒとの記憶がなくなって、忘れていて当たり前だとハルヒに言われた。
ただ、忘れていていい訳がないんだ。
ハルヒを抱いたあの夜、俺は全て聞いた。
ハルヒが今の家に養子縁組で引き取られたこと。
それまでに至る経緯。
そして、右肩から腰にかけて斜めにある背中の大きな傷跡の理由。
初めは信じられなかったけど、ハルヒが俺に嘘をついて得することはない。
たぶん、傷は本当に俺のせいなんだ。
家に居場所がなく、こんな傷を抱えたままではずっと一人だと言ったアイツに俺は同情したんだろう。
涙を流すアイツを放ってはおけなかった。
ちょうど、俺は少しでも李桜のことを考えないで済むようにしたいと思っていた。
お互い利用できればいいと思った。
けど、その関係はどんどん歪な形になって
「この傷のせいで誰からも愛されなくて僕は独りなんだよ?李堵だけ幸せになるなんて許さない」
日が経つにつれてハルヒは変わっていった。
本心が見えてきたのかもしれない。
今までのハルヒは猫を被っていただけであって、これが本当のハルヒ。
罪悪感でいっぱいになった。
李桜の元に帰る勇気もない俺は、黙ってハルヒを抱きしめる。
好きだとは言わない。
ただ、求められるからセックスはする。
そうでもしないと、ハルヒが消えてしまう気がした。
けど、本当は秀都と通話して以来李桜に会いたくて仕方なくなっている。
ハルヒに同情して捨てられない自分と、李桜を抱きしめたくて求めている自分。
天秤にかけたら後者の方が普通は重くなる。
それでもハルヒのところにいるのは、李桜がもう俺のことを受け入れてくれない気がするからだ。
どこまでも自分勝手。
しばらく傍にいれば離してくれると思ってここに来たけど、離してくれそうにもない。
解決できると思ってここに住み着いたが、どんどん後戻りできなくなっている。
ハルヒに対する情は深まるばかりで、李桜に対する愛情は膨らむばかり。
優柔不断とはこうゆうことだ。
どちらにもいけずにズルズルと引きずってばかりいる。
生徒会が解散して、秀都とはどんどん疎遠になっていっていた。
クラスが離れたことが大きな原因だけど、かえって気が楽だ。
傷心中の李桜の隣には絶対に秀都がいる。
李桜はどうしてる?
最近は元気なのか?
また泣いてるんじゃないか?
アイツに会ったらきっと、考えないようにしていた事が溢れて止まらなくなる。
ハルヒへの気持ちに全てを塗り替えられたなら、どれだけ楽になるだろう。
「化学わからなくて困っちゃうよね~」
ハルヒの何気ない会話に適当に返事をしながらサンドイッチをかじる。
学校なんてつまらなくて、李桜に好かれたいがためだけに演じてきたキャラは何処かへ消えていた。
距離を取ろうとしただけだけど、もう別れているも同然だろう。
こんなヤツにいつまでも執着するくらいなら、秀都に乗り換えるに決まってる。
アイツは作ろうとしなくても素がいいやつだし。
こうゆうこと考えている時点で性格の悪さが滲み出てる。
恋はもっと綺麗なものかと思っていたけど、想像以上にドロドロしていて醜いものだ。
自分がこんな人間だとは思わなかった。
「…ねぇ、李堵」
「え?なに?」
「だから、日曜日デートしよ?見たい映画があるの」
「いーよ」
「やった!!」
ハルヒは少し李桜に似ている。
小さくてニコニコしてて犬の様に懐いてくる。
それが心地よかった。
大事にしてやらなくちゃいけない。
李桜と違って、秀都の様な存在がいないハルヒは俺がいなくなったら独りだ。
少しずつでいい。好きになれるように努力しよう。
幸い、俺とハルヒは相性がいい。
一緒にいて楽だし楽しい。
李桜といるときのように、醜い自分を見つめる必要がなくなるだけで安心した。
このまま戻らないほうがお互い幸せだと思う。
李桜もそう思ってるはずだ。
そう思いながら、LINEを開いて李桜との会話を見返した。
最後の会話はもう随分前。
元々連絡はまめではないから、残っている会話は本当に少ない。
「はぁ…」
ケータイの電源を落とすと、真っ黒になった画面が鏡の役割をして俺の後ろを映し出した。