兄弟的同性愛事情
どうしたらいいのか分からなくて、俺はただ兄ちゃんを見つめる。
静かだけど、俺の心臓の音が部屋中に響いているくらい大きく鳴る。
なんなの、ホント…。
兄ちゃんの行動も、言葉も
俺にはわかんないよ。
♪~♪…
沈黙をやぶったのは、兄ちゃんの携帯の着信音。
…この音…
兄ちゃんは特別な人の着信音は変える。
その音が鳴れば、すぐに出られるようにって。
だから、俺でも誰からかかってきてるかなんてすぐにわかる。
「ほら、華恋からだよ?でなよ、兄ちゃん」
兄ちゃんは俺の顔をしばらく見たあと、電話をとった。
そのまま寝室へ入っていった。
…なんなんだよ。
ムカつく?
兄ちゃん、それって嫉妬なの?
なんであんな顔するの。
…なんで、いつも俺の気も知らないで…
兄ちゃんがそーゆーこと言ったりするから
俺はいつも、胸の辺りがモヤモヤして
どーすればいいのかわからなくなるんだ。
楽しそうに話す兄ちゃんの声が、閉められたドアの向こうから聞こえてくる。
「…最低野郎」
いつからだろう。
兄ちゃんにこんな感情をもったのは。
いつからだろう。
…自分の気持ちをかき消し始めたのは。
こんな気持ち、嫌だ。
この感情のせいで、優しくしてくれる華恋のことも大嫌いなままなんだ。
それもこれも全部
…兄ちゃんのせいだよ…。
予習やろうと思ってたのに、俺の頭の中はずっとこんなで
結局、どーにもできなくて
なにもしないで寝てしまった。