兄弟的同性愛事情



今日からは普通に授業が始まる。


広い校舎だから、一人一人に地図が渡された。


移動教室のときは、これを見ながら進まないと確実に授業遅刻になる。


朝から周りで騒いでいた女の子ももちろんいるけど、


移動教室の時も


「物理室って右?」


「もも、そっち左」


お昼休みの時も


「卵焼きちょーだいっ」


「勝手に食べるな!!」


常にももといるからか、女の子達が寄ってくることはなかった。


俺はすごく助かってる。


けど…


「もも、友達つくらないの?」


女の子って、いつでも群れてるイメージがある。


トイレ行くのも一緒とか


みんなでお菓子持ち寄って騒いだりとか


恋の話とかして盛り上がるとか


…女の子って、そーゆー生き物だろ?


なのにももは、俺としか話してない。


俺といたらきっと…とゆーか、絶対


女の子の友達がももにはできない。


それは…


いろいろダメだと思う。


「あのさ、李桜君。君は何か勘違いしてるよ?」


「えっ…?」


ももはブロッコリーを口に入れてモゴモゴしてから、もう一度話し出した。


「実は…」


手招きして、俺を呼び寄せた。


「…私、女の子と群れるの苦手なんだよね」


……は?


ももは苦笑いして、俺の耳からから顔を離した。


「嘘だろ?」


「ホントよ」


そういって、インゲンを食べて幸せそうに笑う。


俺はてっきり、もももあーゆー…群れのなかに入りたがっているとばかり思ってた。


女の子の友情って、常に一緒にいることでできていくものだろ?


あ、そこは男も一緒か。


…なのに、群れたくないって…。


ももはどちらかというと、クラスの中心にいるような人。


なのに、なんで…


「中学の頃に、ちょっとトラウマがあってさ~…。李桜といると気が楽なんだけど、李桜は私が邪魔?」


「違う!…ももがいてくれて、女の子避けになって助かってるし」


正直に言うと、ももはいきなり吹いた。


「あっはは!!お互い一緒にいると得するって訳ね!」


「…だな」


一瞬、


中学の頃の話をしたももの顔は


どこか寂しそうで、酷く…悲しそうだった。




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