兄弟的同性愛事情
~李堵side~
李桜にLINEを送ってから、ケータイをポケットにしまう。
既読無視されてるし…。
俺には、彼女がいる。
高校に入ってすぐに仲良くなった、生徒会の副会長。
華恋。
けど、俺達が付き合ってるのには理由がある。
「聞いてよ!李堵」
今居るのは生徒会室。
俺と華恋と秀都の3人は、よくここにたまる。
俺達生徒会員しか鍵を持っていないから、いろいろ都合がいいんだ。
バンッと机を叩いて涙目で見つめてくる華恋を見るのなんて、ここでは当たり前。
「なに、またなの?」
俺が呆れたように聞くと、華恋は大きな瞳に涙を更に溜めた。
「お兄ちゃん、また1週間帰ってこないの!!もう、寂しくて死にそう!!!」
「言ってるうちは死なないから大丈夫」
俺達が付き合っている理由。
それは、共通の悩みを抱えていて俺達はそれを忘れようと必死に努力しているから。
忘れる手助けをお互いにやっている。
…つまり、
華恋が好きなのは、実の兄。
俺が好きなのは…
「またって言った李堵だって、結局李桜君の事しか考えてないじゃない!」
…こーゆーこと。
1年前。
俺と華恋は、この想いを断ち切ることを決めた。
…筈なのに。
成果は出るどころか、俺も華恋も気持ちが大きくなるばかり。
恋人をつくれば、きっと忘れる。
そんな考えは甘かった。
「無理だって。俺、もう何年片想いしてんの」
ずっとずっと、昔から変わらない。
俺の中では、李桜が一番で。
李桜がいないとダメなくせに
李桜を独占したくて仕方ないくせに
わざと遠ざける。
「やめれば?この関係」
本を読んでいた秀都が唐突に言った。
生徒会室に静かな沈黙が流れる。
秀都は本を閉じて鞄の中に荷物をまとめる。
「俺はさ、華恋も李堵も…このままじゃずっと同じ気持ちのままだと思うんだ。…気づいてんだろ?お前らだって」