兄弟的同性愛事情



「……き、だょ…」


「聞こえない」


ッ/////


耳まで赤くなってるのが自分でわかる。


恥ずかしい。


兄ちゃんの気持ちはわかってるけど


自分の口でたった二文字を言うのが恥ずかしくてしょうがない。


声が震えて、緊張で瞳に涙が溜まる。


「李桜」


「にぃ、ちゃ…」


どうしても口にできなくて、俺は兄ちゃんの胸に顔をくっつけた。


兄ちゃんが、すごく近い…。


心臓の音が心地いい。


「…好き。兄ちゃん…」


口からこぼれた言葉は、兄ちゃんの耳にしっかり届いた。


それは、兄ちゃんの心臓の音ですぐにわかった。


スゲー音。


兄ちゃん、こんなにドキドキしてくれてるの?


「李桜、本気で言ってる?」


「…うん」


「顔みて言って、李桜」


緊張してるのは、俺だけじゃない。


兄ちゃんもだ。


そうわかったからかな?


「兄ちゃん、好き」


顔を見て、兄ちゃんに好きって言える。


涙で揺れる兄ちゃんを俺はずっと見つめる。


…兄ちゃん、今どんな顔してるの?


よく見えないのが残念だな…。


「俺も好きだよ、李桜」


ぎゅぅぅ…って心臓が締め付けられて


嬉しいけど、恥ずかしくて


どうしたらいいのかわからなくて


俺はもう一度、兄ちゃんの胸に顔をくっつけた。


どーしたんだろ…?


俺って、こんな性格だったっけ?


こんなに兄ちゃんにくっついたのは久しぶりで


幸せだし、嬉しくて


今なら素直になれるから


もう少し、甘えてみるのもアリかな…?



< 28 / 126 >

この作品をシェア

pagetop