兄弟的同性愛事情
駄々をこねる兄ちゃんを無理矢理布団から引っ張り出して、用意を終わらせてご飯食べさせて…
別に、あーんっとかやったわけじゃないけど。
その他諸々を済ませて、早速登校。
…しようと思ったら…
玄関の傘立てに置いてある傘は、何故かたったの1本だけ。
俺の紺色の傘が置いてあった。
「兄ちゃん、傘はどこやったの?」
「んー…わかんね」
おいおい…。
兄ちゃん傘、気づいたらなかった気がするから、学校にでも置き忘れたんだろう。
仕方ない。
「兄ちゃん、俺は鞄頭に乗せて行くから「相合い傘していこっか♪」
……
俺、まだ話してる途中なんだけど?
何故かすごく嬉しそうに
まるで、犬のように目を輝かせている兄ちゃんは、いったい何を期待しているんだ?
相合い傘とか、マジ勘弁。
いろいろまずいだろ。
男同士で相合い傘とか、世間一般の目が絶対痛い!
「よし、決定!」
「ちょ、兄ちゃんっ!!」
この人は、なんでこうも強引なのかなー!!?
…本気で逆らわない俺もどーかと思うけどさ?
正直、けっこう嬉しかったり…。
兄ちゃんの肩が歩く度に触れる。
雨は昔から大嫌いだけど、…悪くないかも。
「李桜、ニヤけてる」
「んなっ…!!?!」
無意識に上がっていた口角に今さら気づいて、顔が赤くなる。
でもそれ以上に
実は兄ちゃんもニヤけてる。
鼻歌唄い出しそうなくらい。
ホント、可愛い。
兄弟って、やっぱ似るもんなのかな?
「李桜、今日も生徒会で帰り遅くなるけど…帰ったらスキンシップとろうな?」
後半をわざと俺の耳元で言う兄ちゃん。
確信犯だろ!!!
「期待して大人しく待ってろよ?」
「だっ、誰が!!期待なんてするかー!!!」
朝から腹から大声で叫んだ俺の声は、坂の上の学校にまで聞こえた…らしい。