兄弟的同性愛事情
チラチラとこっちを見てくる女が気になってしょうがない。
兄ちゃんのファンみないな奴等だろうけど。
…男までいる。
「じゃ、俺は2階だから。また後でな?」
「ん」
ぽんっと頭を触られて、嫌がるフリをして兄ちゃんから離れた。
真っ白な廊下の先には、何人もの生徒が見える。
ここを通らないとなのか…。
…めんどくさ。
とか思っても、通らないといけない。
「はぁ…」
知らずにため息が漏れた。
本気で嫌がりながらも、教室に向かって足を進めていく。
10人くらいの生徒がたまっている場所まで来ると、これ以上進むことができなくなって俺の足は止まった。
「なに言ってんだよ~!」
ふざけあって騒ぐ男女。
その中の一人が、軽く突き飛ばされてよろけて俺にぶつかった。
「あっ、すんませ……ん?!」
ぶつかってきた生徒が、俺の顔を見て目を丸くした。
茶髪のいかにもチャラそうな男。
着崩した制服がやけに似合っていた。
これ、べつに褒めてない。
1年なのに、もうこんなことする奴いるんだ。
なんて、少しコイツの勇気に感心した。
…それにしても
なんなの、コイツ。
気づけば、廊下にいた生徒全員が俺を見て固まっていた。
…?
なんとなく、嫌な予感がした。