兄弟的同性愛事情
「お前、いきなり倒れんだもん!びっくりしたわー」
何ともなくてよかった。
そう言って笑った。
「もしかして、ここに運んでくれたのって…」
「ん、俺俺!三神 ライトってゆーんよ。よろしゅーなー♪」
三神、ライト…。
頭の中で復唱して名前を覚えた。
関わったことがなく顔もあまり見ないのは、たぶん席が俺よりも後ろで離れているからだ。
もも以外と未だまともに話したことのない俺にとって、その距離はけっこう遠く感じていた。
まさか、こんなことをきっかけで話すことになるなんて思いもしなかった。
「なんや?じっと見てきて」
こっちじゃあまり聞かない関西弁の変わったイントネーションは、自然と笑顔になった。
「ぁ、三神君、俺の荷物とって」
「ライトでええって!ほいよっ」
「ありがと。…ライト」
実は高校に入ってから初めての男友達だから、名前を呼ぶのもけっこう緊張。
俺が少し赤くなると
ライトは真っ赤になった。
手短に兄ちゃんに連絡を入れて、ケータイをしまおうとすると
ライトが俺に自分のケータイを向けてきた。
…?
よくわからなくて首を傾げる。
「LINE、登録してや!」
「あぁ、うん」
フルフル機能を使うから振るのかと思ったけど、ライトは手を動かさない。
「知ってるかー?これ、振らんくてもできんねん」
笑いながらライトが言うと、ホントに何もしなくても登録された。
そんなことも知らなかった俺は、少し驚いた。
これなら、フルフルって書かなくてもいいんじゃないだろうか?
「ふっ…」
つられて笑うと、ライトは俺をガン見してきた。
「っ、なんだよ?」
「おっまえ、やっぱ可愛いなぁー!!!!」
はぁ?!?!!
何がどうなってそうなるんだよ!!
いきなり飛び付いてきたライトの頬を左手で押し返す。
「ハグくらいええやん!」
「んな全力で来られたら怖いっつーの!!」
「照れんなよ~」
「違うって!///」
保健室のベットがギシギシと揺れる。
保健の先生、来るんじゃないのかよ…?!