兄弟的同性愛事情





「李桜、ここに座って」


いつもより少し強い言い方。


少し不機嫌な証拠。


めったにこんなことないけど、兄ちゃんは機嫌の良し悪しがわりとわかりやすいタイプ。


大人しく兄ちゃんの部屋のベットに座る。


隣には兄ちゃん。座ってるのはベット。


…さっき、ライトともこんな状況だったな…。


「そんなにあの男の子が気になる?」


できるだけ優しく聞いてこようとしてる。


けど、苛立ってるのがわかる。


目が怒ってるから。


あの男の子ってゆーのは、確実にライトのことだ。


「そんなんじゃない、よ」


目は泳いで、兄ちゃんの足元を見て止まる。


この状況に慌てている俺の心臓は、少しずつ鼓動を早めていく。


「李桜、俺の顔見て」


ゆっくりと上げた視線の先に、兄ちゃんの顔があった。


心臓が加速する。


そのせいか、顔には熱がたまっていく。


そらしたいのに…兄ちゃんの目から逃れられない。


そらすことができないような強い瞳は、俺を捕らえて離さない。


「…彼に何されたの?」


唐突に聞かれた質問に、俺は息を詰まらせた。


「なっ、なにもされてないって!!」


必死に逃げようとする俺を兄ちゃんが押さえ込む。


「李桜」


トンっと肩を押されて、俺はベットに体を沈めた。


その上に兄ちゃんが覆い被さる。


…あ、また。この感じ。


さっきと似てる。


この空気。


「なんで急に大人しくなるんだよ。…こーゆーこと、したいの?それとも、彼とこーゆー状況になった?」




< 49 / 126 >

この作品をシェア

pagetop