兄弟的同性愛事情
休み時間に今日の課題を終わらせて、別にやらなくてもいい仕事をやりに俺は印刷室へ向かう。
日頃お世話になってるから、こーゆーときくらい役に立たないと…だよな?
兄ちゃんにはたぶん秀兄ちゃんが連絡しといてくれただろう。
サボっても別に秀兄ちゃんは俺を怒ったりしない。
それをわかってるのに、小走りで進んでいく自分はなんなんだろう…。
やっぱ、引き受けた以上は行かないと。
そんな義務感を強く感じて、もも達に帰ろうと言われたのを断った。
自分のこーゆー、無駄にいい人っぽいところがたまに嫌になる。
他人には親切に。
シスターからの教えが染み付いてるのかもしれない。
2階へ登って、右に曲がって一番奥まで歩く。
そこに印刷室がある。
生徒も教師もこの印刷室に来ることはめったにないらしく、ほとんど使われないらしい。
印刷機なら、職員室に4台もあるからな…。
ならなんでわざわざ印刷室なんて作ったんだか、疑問に思うのはおれだけなのかな?
ドアの真ん中は中が見えにくいガラスになってて、ぼんやりと人影が見えた。
「秀にぃ…ちゃん?」
驚いた。
だって、
床一面にばらまかれたプリントの量が半端じゃないくらい多かったから。
この人、いったいなにやらかしたんだよ…。
コピーと資料整理の前に、これ全部拾わないとじゃんか!!
ギロリと秀兄ちゃんを睨むと、
ペロッと舌を出されて、ウインクまでかまされた。
…この人は…
呆れてなにも言えない。
印刷室は思っていたよりもずっと広くて、なぜかテーブルとソファーまで置いてあった。
それと、小さい冷蔵庫も。
まるで誰かの……
「……もしかして秀兄ちゃん、ここ自由に使ってるの?」
「そー!」
そー!…じゃないよ!!!!?!!
なに言ってんの!!
いや、なにやってるの?!?!!!
馬鹿なの?!?
開いた口が塞がらない。
どーりで秀兄ちゃんの匂いがすると思った。
サボリ魔の秀兄ちゃんのことだ。
かったるい授業のときは、この部屋に逃げ込んでるんだろう。
それにしても、なんで先生達も気づかないかなぁ…。
いくら使ってないとはいえ、週に1度くらい見に来ればいーのに。
秀兄ちゃんの部屋はいつもプリントが散乱してることを今さら思い出して、この部屋の状況に納得した。