兄弟的同性愛事情



「相澤ー!!会長がこんなとこで何やってんだ!!さっさと体育館に行け!」


頭がハゲ……寂しい先生が、俺らに怒鳴り付けてきた。


体育館…?


…あー!!!!!!!!


「ヤバッ!!」


今さら思い出した!


今日は入学式。


ほとんどの生徒は、既に体育館へ移動してしまっていた。


だから、こんなに廊下が静かなんだ。


俺ら、馬鹿だろ…。


「李堵ー、だから俺はとめようとしたのに~」


「先に言えよ!!」


兄ちゃんと秀兄ちゃんの言い合いを聞きながら、3人で体育館へ向かって猛ダッシュ。


ギリギリで生きてる感じで、なんか青春ぽい。


なんて、呑気なこと言ってる場合じゃないんだけど。


兄ちゃん達とこれからはこうやって、また一緒にいられるんだと思うと、俺は自然と笑顔になった。


体育館へと続く渡り廊下には、胸に花を付けた新入生が並んでいた。


俺は、ここら辺かな?


2組の列に並ぶと、同じクラスであろう人達に好奇の目を向けられた。


…いずらい。


「李桜、帰りは校門前集合な」


「俺も一緒に帰るから~♪じゃーね!…ごめん、通して~」


兄ちゃん達は新入生の間を通って体育館の中に消えていった。


なんかもう、こんな感じなのも毎年のことだけど


相変わらず、俺達の新学期はバタバタ。


まぁ、8割は俺のせいなんだけど…。


なんとなく、横を見て気づいた。


そーいえば俺、ホームルーム出てないから花貰ってない。


一人だけ付けてないとか、目立つ…よな。


最悪だ…。


「あの…」


「?」


声をかけられて振り向くと、女の子が戸惑いながらも手を差し出してきた。


…なに?


「これ、お花…」


あ、


俺の花。


この子、わざわざ持ってきてくれたんだ。


「ありがと」


お礼を言うと、その子の頬がピンク色に染まって


そして、花が咲くように笑った。


女の子には特に興味ないけど(かといって、男に興味があるわけではない。)、可愛いと思った。




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