兄弟的同性愛事情
床にリボンが落とされる。
その瞬間の一つ一つが俺にはすごく遅く見えた。
ブラウスに手をかけようとした華恋を止めるように、俺は声を出した。
「なぁ、どーしたんだよ?」
こんなこと、華恋がするなんて考えられない。
華恋は強がりだし頑固だし可愛げなんてあんまないけど…言い過ぎか。
けど、素直で傷つきやすい繊細な女なんだ。
ずっと側にいたんだ。
華恋のことはよくわかってる。
…けど、今までこんなこと1度もしてこなかったから
絶対なにかあったんだ。
こんな瞳をするような理由が、なにか。
「悪いと思ったこと、ある?」
同じ質問を繰り返して聞いてくる。
本当に、人形の様だった。
「…思ってる。そのことで怒ってるなら、今度はあの時俺が華恋にしたように、華恋が俺に無理矢理お願いすればいい」
それで気がすむなら。
傷ついていたんだろうか。
散々振り回した俺にずっと怒っていたんだろうか。
そーゆうことを言わないのが、華恋が言う優しさなんだろうか…?
…違うよな。
「…じゃあ……抱いて?李堵」
……は?
真剣な顔して何言ってんだ?
「お願い…」
俯いた華恋の顔を、黒い長い髪が隠す。
風が強く吹いていたのは、知らないうちに止んでいて
外は雨が降りだした。
「華恋、本気?」
コクリと小さく頷いた彼女を、俺は床に押し倒した。