兄弟的同性愛事情



「私、小此木 百那(おこのぎももな)。席は相澤君の隣だよ。よろしくね」


ショートカットがよく似合う。


媚びてくる女の子は苦手だけど、この子は少し違う感じがした。


「相澤 李桜。よろしく」


「首席で入学した美少年って噂、ホントだったんだね。隣の席なんてビックリ!」


そんな噂あるのか…。


どこにでもいるよなー。


こうやって噂作って流すのが好きな奴。


昔からよくそーゆー奴のターゲットにされて、こっちはいい迷惑。


美少年じゃないし。


首席で入学ってとこだけだろ、あってるの。


「…ごめんね?」


「え、なにが?」


「噂とか、言われるの嫌だよね。悪気はなかったの…。ごめんなさいっ」


頭を下げる小此木さんは、本気で俺に申し訳ないと思っているみたいで。


「いや、慣れてるからいーよ」


小此木さんとは仲良くできる気がした。


「私も噂には嫌な思い出しかないからさー…」


普通に可愛いから、彼女もいろいろ苦労したんだろう。


なんか似てるね、私達。


そう言って笑う小此木さんにつられて、俺も笑った。


『新入生、入場』


小さく聞こえた男の人の声を合図に、俺達は拍手の中体育館へ入っていった。


会場での席も、俺の隣は小此木さんだった。


1組が一列目に並んでいて、俺達の席はステージから割りと近い場所。


校長の有りがちな挨拶を聞きながら、俺と小此木さんは堂々と欠伸をした。


しかも同時に。


思わず笑うと、周りからいきなり拍手が聞こえてきた。


校長の挨拶が終わったらしい。


全然聞いてなかった…。


ま、いっか。


俺が聞きたいのは…


『生徒会長、挨拶』


これだけだから。




< 8 / 126 >

この作品をシェア

pagetop