兄弟的同性愛事情
「……と、いうことなんだけど…李桜?」
納得した。
俺の考えが勝手に暴走していて、ホントは昨日、兄ちゃんと華恋はヤってない。
服脱がせたのに我慢できるって、ホントにすごい。
「李桜以外に興奮しない」とか言って。
顔が赤くなってしょうがない。
ただ、ひとつ違う。
兄ちゃんは、何もなかったって言ったくせに
「キス、したんじゃん…」
ヤってなくても、…キスはしてたんだ。
兄ちゃんにとってキスって、外国人みたいに挨拶と同じなの…?
俺にとってのキスって、もっと大切なことなのに…。
「不意打ちにされたからって、キスしたことは謝るよ。…ごめん。そんな顔しないで?」
兄ちゃんが恐る恐る俺に触れてくる。
さっきみたいに拒否されることが怖かったんだと思う。
ゆっくりと触れてくる手を掴んで、頬に当ててスリスリする。
泣きそうな顔で笑う兄ちゃんの手に、俺はそっと唇を付けた。
「疑ったり、心配かけたりしてごめんなさい。兄ちゃんが取られるのが怖かったんだ…」
俺たちは兄弟だから。
いつかきっと、突き放される時がくる。
どんなに信じようとしても、この不安だけは消えなくて…
こんなに好きになって、止められない気持ちと不安で苦しくて仕方がないんだ。
「いなくならないで…」
それでも俺は
これから先もずっと、ずーっと
兄ちゃんと一緒にいたいよ…。
「俺だって不安だよ。秀堵のところに行ってるかと思ってたから、嫉妬で頭がおかしくなりそうだった」
秀兄ちゃん…?
なんで兄ちゃんが秀兄ちゃんに嫉妬するんだ?
「俺から離れたら生きていけないってくらい、俺のこと好きになって?李桜」
大袈裟だなぁ。
なんて笑って、俺は兄ちゃんに抱きついた。
「兄ちゃんこそ。それくらい俺を好きになってね?」
「俺はもうなってるよ」
「…ばぁか」
即答するなよ。
こうやってずっと隣で
ずっと側で笑い会える日々を過ごしたい。
信じられない不確かな永遠を願わずにはいられないんだ。
「あっ」
「ん?なに?」
ベットで兄ちゃんのしたになったとき
同じ状況に誰となって何があったのかを思い出した。