兄弟的同性愛事情
校門を通るとき、俺達の横を通っていく女の子達が
「今日は車じゃないのね」
「庶民の真似事?」
「うわ、腹立つわ~」
…!!!!!
周りを見回しても、通りすぎていく人が多すぎて誰が言ったのかわからない。
誰だ…?
今の陰口は明らかに…もものことを言っていた。
「李桜?そんなところで立ち止まっちゃ邪魔になるよ?」
「ぁ、うん…」
聞こえてない…?
わかりやすくハッキリと聞こえたけど、もしかして秀兄ちゃんと話しててわからなかったのかな?
それならいいんだけど…。
秀兄ちゃんと別れて、二人で教室に入る。
席につくと、クラスで目立っている女の子達が寄ってきた。
「おはようございます、李桜様っ」
「うん、おはよう」
愛想笑いをして挨拶を返す。
…あれ?
話しかけてきた女の子をもう一度見る。
長い黒髪の清楚そうな女の子と、…その取り巻きのような子達。
「どうかなさいましたか?」
「ううんっ、別に」
言わないと思うんだけど…
でも、同じなんだ。
…さっき校門のところで
『今日は車じゃないのね』
そう、冷たい声で言った人達と。
あのとき周りを見ると、この子の黒髪が見えた気もする。
勘違い?疑いすぎかな?
「もも……あれ?」
いつの間にいなくなったんだろ?
席に座っていたはずのももは、いなくなっていた。
…もしかして…
横に立っている女の子達を少しだけ見る。
この子達を避けた…?