兄弟的同性愛事情



キッチリと制服を着て、家では見ないような表情の兄ちゃんがステージに立つ。


兄ちゃんが目の前に立って、マイクに顔を近づけた。


『新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。生徒会長の相澤です。』


「相澤くーーーん!!!!!」


「キャー!!!李堵様ぁーーーーーー!!!!!!!!」


…うざ。


兄ちゃん、今絶対にそう思っただろ。


俺も思ったけど。


ポーカーフェイスの兄ちゃんは、笑顔を崩したりしない。


しばらくすると、女の子達は自然と静かになった。


ここで初めて知ったのが、兄ちゃんは様付けで呼ばれてること。


思わず笑ってしまった。


『新入生の皆さんに言いたいことは、ただ1つです。高校生活をとにかく楽しんでください。我が校には、部活動が沢山あります。是非、自分が輝ける場所を見つけてください』


…部活に入ってない兄ちゃんがそれ言うか?


なんて、心の中で突っ込む。


『生徒会長として、皆さんを全力でサポートします。なにかあったら、いつでも生徒会を頼ってきてください』


一礼をして、兄ちゃんはステージから降りた。


目が合うかな、俺に気づくかな、


そんな期待をしていたけど、兄ちゃんは1度もこっちを見なかった。


こんなに人がいて、気づくほうがおかしいか。


こーゆーときって、なんか…


すごく、兄ちゃんを遠く感じる。


違和感がある。


…寂しくなる。


「お兄さん、すごいね」


小此木さんからの耳打ちも、今は遠く感じた。







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