兄弟的同性愛事情
◇◆◇
中学の頃、私の過去を知っているのはライトだけだった。
この頃は、その過去が恥ずかしいことのように思えて知られたくなかったんだ。
…でも
私の過去を探った人がいた。
それが、蓮常寺 ユリ(れんじょうじゆり)さん。
その人は私の家と対立する家の子で、私に興味があって調べただけだと思う。
それだけならまだ我慢できた。
…でも、それだけじゃなかった。
蓮常寺さんはこれをネタにして、私をイジメ始めた。
わかりやすくやるのではなく、知られないようにこっそりと。
でも、酷く。
…隠すしかなかった。
頼ったら嫌われると思ってたから。
優斗のことも、ライトのことも…この頃は信じられなくなってた。
イジメは酷くなって、とうとう我慢の限界になった私は
蓮常寺さんを叩いてしまった。
先に手を出したらダメ。
施設でもよく言われた。
でも、直接手を出してしまったのは私が先だった。
それから1週間、何事もなかったように毎日が過ぎていった。
叩いたのはやり過ぎたかな、と思いながらも、話しかける勇気なんてなかったから謝ることもできなかった。
ある日の下校中。
この日はたまたまライトがいなくて、早帰りだったから歩いて帰っていた時だった。
横に止まった黒い車から出てきた人達に、私は車に乗せられて連れていかれた。
倉庫みたいな所に連れていかれて、目を覚ましてみると男の人たちの中心に居たのは蓮常寺さん。
私が手を出したから仕返しか。
それなら仕方ないと思って、黙って目をつぶって殴られるのを待っていると
倉庫に来たのは優斗とライトだった。
それから凄かった。
男の人たちがどんどん倒されていって、私はそれを呆然と見ていた。
「お嬢様…遅くなって申し訳ありません」
「もも、大丈夫か?!」
男の人から奪ったナイフでライトが私の縄を切ろうとしたとき
前から来た男を優斗が倒してそれに気をとられていると
後ろから来た男にライトが殴られて
ライトが持っていたナイフが私の右肩を切った。
「お嬢様!!!!!」
ライトがぶつかった衝撃で私は縛られていた椅子ごと倒れた。
◇◆◇
「この事件は事故ですんで、ライトが罪に問われることはなかった。…たぶん、学校の人達はこの事を知ってるんだと思う。だから私、女の子の友達ができないんだよね」
泣きそうになった。
感傷的になったんじゃなくて
今まで気づいてあげられなかったことに対しても、申し訳なくて。