兄弟的同性愛事情
「同じクラスになっちゃっうなんて、…ほんと、私ってつくづく運がないなぁ」
「笑わなくていいよ」
「……っ」
「ずっと一緒にいたのに、気づいてあげられなくてごめん。もう、泣いてもいいよ」
遠慮がちに俺の右腕をつかんで、声を殺してももは泣いていた。
一人でいなくちゃいけない。
泣いちゃダメだ。
ももの中にはきっと、誰に決められた訳でもないのにそういう気持ちがあって
その強がりのせいで、ももはずっと苦しんだんだと思う。
「ありがど、李桜…」
ずびっと鼻を鳴らしながら言うももに、俺は声を出して笑ってしまった。
「鼻水垂らしながらお礼言うお嬢様なんていないっつーの」
「へへっ」
入学式の日、ももが俺に声をかけたのは
偶然であり必然なのかもしれない。
同じような過去を背負っている者同士、なにか引かれ会うものがあったのかもしれない。
「俺のブラウスに鼻水つけるなよ!!」
「これは涙だよ?!…ん?鼻水か」
「おいっ!」
一時間目の終わりを告げるチャイムが下から聞こえた。