兄弟的同性愛事情
*ヤキモチ、空回り
けっきょく、ももが何もしないでほしいって言ったから何も言わないでおいたけど…
「やっぱり、なんか嫌だ」
ももがよくても、俺が嫌なんだ。
もうももの悪口を言うなって言いたいけど
ももが
「私は大丈夫。だから、李桜がそんなに怒らないでよ」
って言うから、きっと俺が口を出すとももが怒る。
(…女の子って、面倒なんだなぁ…)
華恋が昔言ってた、「女子社会の辛さ」ってやつがようやくわかった。
にこにこお上品に笑ってるお嬢様の腹は真っ黒。
なーんて知ったら、俺の学年の男子は驚愕するだろう。
男子には理解しにくい世界なんだなぁ、女子社会ってゆーのは。
「り!!!お!!!!」
「ぎゃあっ!!?!?!」
「それ、味噌入れすぎてないか?」
兄ちゃんが指差した先には、帰ってきてから作っていたお味噌汁…
……味噌、山盛りの…お味噌汁…
「あぁぁぁぁ!!!!」
急いで汁についていない部分を取ってから、鍋の味噌を減らそうとすると…
「熱ッ!!」
流しに捨て始めたお湯を腕にかけてしまって、お味噌汁は全て鍋から流れ落ちてしまった。
「李桜!!!」
慌てて兄ちゃんが俺に駆け寄るけど、時既に遅し。
排水溝の中に具まで流れてしまった。
こうなったら作り直すしかないか…。
「ごめんね兄ちゃん。お味噌汁が…」
「そうじゃないだろ!!早く腕出せ!!」
蛇口から水を流して、俺の左手を無理矢理水で冷やす。
鈍い痛みが腕に走って、俺は顔をしかめた。