兄弟的同性愛事情
ももからの電話は、英語の課題がわからないと泣きついてきただけだった。
そんなの、優斗さんに聞いたほうが早いと思うんだけど。
時間的に、夕食の準備でもしていたんだろう。
散らかしてしまった課題を机にまとめていると
コンコン
と部屋のドアがノックされた。
「兄ちゃん?」
「夕飯できたぞー」
扉を開けると、チャーハンを持った兄ちゃんが立っていた。
おぼんにはお皿が二つ。
リビングに帰るよりこの部屋のほうが近いから、食事は俺の部屋ですることになった。
目の前に置かれたチャーハンは所々焦げていて、卵でそれを誤魔化しているような
なんとも兄ちゃんらしいチャーハン。
前よりもずっと料理は上手になっているけど、やっぱりまだまだだね。
俺からしてみれば、兄ちゃんが作ってくれたってところが重要なんだけど。
ぱくっと一口食べる。
「ん、美味しい」
嬉しそうに笑った兄ちゃんが可愛くて仕方なくて、俺はいつもより美味しそうにチャーハンを食べた。
…ほんとは少し味が薄かったけど、前に作ってもらったときには塩と砂糖が間違えられていて甘かったから…
(あれに比べたらすごい美味しい)
頭の中であの味を思い出してしまって、心の中ではそんな感想が漏れた。
「…李桜、さっきなに話してたの?」
「ん?」
口の中に詰め込まれたチャーハンを噛みながら、電話の内容を思い出す。
「英語の課題がわからないってももが言うから、教えたんだよ」
ほら。と机の上の課題を指差して説明した。
それでも兄ちゃんは不安そうに俯く。
「それだけ?」
「うん、そうだよ?」
黙ってチャーハンを食べる兄ちゃんの顔は、明らかに腑に落ちていない。
食事を中断して、俺は兄ちゃんの横に座った。
そして、兄ちゃんの頭を撫でた。
すると、兄ちゃんも食事をやめて俺にくっついてきた。
「…どーしたの?兄ちゃん」
可愛いんだけど、なにかおかしい。
なにがそんなに気になっているのか、俺にはさっぱりわからないよ?兄ちゃん。
なんてゆうか、しおらしい。
いつもなら主導権は兄ちゃんにあるはずなのに、今日は俺に主導権があるみたいだ。