兄弟的同性愛事情
登校中。
俺は兄ちゃんが繋いでくれようとした手を振り払ってしまった。
嫌だった訳じゃない。
兄ちゃんのこと考えすぎてて、触れられただけで身体が過剰反応しちゃうんだ。
照れすぎにも程がある。
兄ちゃん、傷ついたよな…。
「李桜、あーんっ」
「?あー…」
口を開けると、あっついものが口の中に入ってきた。
「あっ…つ!!」
「あんまんだもん!熱々じゃなくちゃ美味しくないでしょー?」
「なんで真夏に熱々のあんまんなんだよ!!」
舌がビリビリする…。
「美味しいから?」
はぁ~…。
呆れた。どんだけあんまん好きなんだよ。
そーゆうところが面白くて好きだけどさ。
「朝からあんたのそんな顔見たくないって!笑ってないといいことないよ?」
「朝から嫌なこと起きすぎたんだよ。…てゆーか、起こしすぎた?」
首を傾げながら最後の一口のあんまんをモグモグ食べる。
「兄ちゃんとさ、昨日いろいろあったんだよ。そしたら、まともに話せなくなったんだ…」
朝から教室で言えるような話だから、くわしくはお昼休みに話そう。
ももはお茶を飲んでから俺の顔を見て
「でも、その様子だとその『いろいろ』ってゆーのは嫌なことじゃないみたいね?」
鋭い。
確かに嫌なことではない。
こくりと頷くと、ももは大体を察したように笑って
耳打ちで
「休み時間は屋上のドア前集合ね」
と言って笑った。
ちょうどその時に先生が来た。
やっぱり、相談するならももだな。
女の子に頼っている自分を情けなく感じながらため息をまたひとつ吐いた。