俺がお前を奪ってやる

「 華村と別れたら?」

「うん… 何度か言ったんだけどダメなの 聞いてくれなくて。私ね、華村くんと付き合うキッカケが、今の七瀬くんみたいに助けてくれたからだったの。ちょっとナンパに引っかかってね、しつこくて、華村くんが助けてくれて 半分強引にだけど付き合う事になっちゃって… 」

へぇ… 華村が助けたんだ。
まぁ、女は弱いんだろうなぁ、ヒーローに見えたのか?

「 でも別れないと ずっとじゃね?」

「 ん… 別れたいよ。気持ちなんて、ほんとにないから… 悪いし… 」

いっそ俺が奪おうか?

そう言いたかった、でも、奪うのはいい気がしない。

彼氏がいる子を好きになったのがもどかしい。

「 私を彼から奪って!とか言ってみたら?誰かいないの?」

恐ろしい冗談が自分の口から出た。
奪いたいのは俺なのに…

情けない。

好きだとも言えない自分が。

俺様だったら、今とっくに奪ってやるって言ってるんだろう。

ミルクティの甘い香りが鼻につく。

不意に俺は思った。

湯瀬と今キスしたら、ミルクティの味がするんだろうなって…

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