俺がお前を奪ってやる

良からぬ事を考えしまった。
一度考えると、つい唇に目がいってしまい、自分のやらしさが恥ずかしい。

何だかムズムズと、男のくせに、男になれない自分にイラつく。

「 七瀬くんは彼女作らないの?」

え… 作るも何も目の前のアンタが好きなんだよ、わかるわけないか…

「 欲しいよ、好きな子もいるしね 」

「 えっ… いるの?誰!なん組の子!」

いや、言えるかよ!湯瀬、お前だ、お前だって!

湯瀬が、俺の好きな子を知りたがって食いついてくるが、まさか言えるわけがない俺は逃げ場がなかった。

「 湯瀬~ そんなん聞いてどうすんの?」

しばらく黙ってしまった。

「 湯瀬?」

どうした?なんか、変な事言ったか?

「 さっき言ったよね… 誰かに奪ってって言えって、七瀬くんじゃダメ?」

手に持ったミルクティ缶を落としそうになった。

今の… マジで言った?

「 七瀬くん、ダメ?」

ダメじゃない… けど、俺を好きなのか?

俺は、答えられなかった。
湯瀬が、俺を好きなら奪いたい。
でも 華村と別れたいからが理由なら、俺は…… 無理だ。

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