俺がお前を奪ってやる
俺だって、好きな女を助けたいし、奪いたい。
ただそれだけなら いくらでも出来る。
でも俺は、好きなんだ。
もう今はメチャクチャ好きなんだ。
この笑顔を俺だけのものにしたい。
これ、ワガママっていうのか?
誰にも渡したくないのに、湯瀬は俺に奪ってと言ってるのに…
こんなに、好きなのに…
俺を見つめる目に、俺は、プツリと何がの糸が切れた。
「 んっ 」
俺は座る湯瀬の顎ごと手で包み上げて唇を奪った。
俺の意識は湯瀬との交わす唇に集中している。
甘いミルクティの味を互いで交換するみたいに重ねあった。
大人になった気分だ。
好きな女と交わすキスは特別だから。
は… と離す唇には互いの思いを伝えようとしているみたいだった。
「 私… 七瀬くんを見てたよ、気になってた。体育でバスケしたときの… かっこよかった… ボールにまっすぐで、妬けたくらい。だから、七瀬くんに、奪って欲しい… 今みたいに 」
そんな告白あるか? 女みてぇにドキドキしてんじゃん、俺…
なんで もっと早く言ってくんねぇんだ、俺は何してたんだよ…
「 好きだ。ずっと、湯瀬だけ見てた… 華村なんかいい、俺だけ見てろ!」
俺は…湯瀬を抱きしめて言った。