大人になりたい
「助手…………?」

「おぅ、化学係は俺の助手!」

なにそれ………
でも……………
なんだか……………

「それって………」

「ん?」

「あ、いや、な、なんでもない! 」

だって、なんだか私だけが特別って言われてるみたいで…………

「?お前やっぱおもしれーわ!とりあえず、ほら!座ってやるぞ!」

「は、はい。」

無言でプリントをホチキスで留めていく。
………………………。
まだ終わらない……………
はぁ………………

「この部屋さぁ……昔から変わんないんだよね。」

え?
沈黙を破ったのは先生だった。

「昔から……?」

「うん。昔から…俺ここの卒業生だからさー。」

「え゛?」

「なに奇妙な声出してんだよ…」

「あ、いや………卒業生だったとは……。」

「いろいろ悪ふざけしてたんだけどなー。この部屋はいつもホコリまみれでさー。」

ちょっとしたことだけど先生のことを知る度に嬉しくなる。

「でも、この部屋好きだったんだよねー。誰も来ないし…静かだし。」

「?」

「授業サボるのにピッタリだったんだよね。」

「………先生悪い子だったんですね…」

「うるせー。この部屋で寝ると気持ちいいんだぞ?窓側は日が入るしー。」

先生が楽しそうに話してるのを見て私は嬉しくなった。

「ん?瀬川?なに笑ってんだ?」

「いや、先生可愛いなって…………」

「お前なぁ…男に可愛いって…失礼だぞ!」

そんなこと言って…
微妙に照れてるじゃんか…





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