大人になりたい
「おいっ!待て…」

え?…………

「…………俺のせいで遅くなったから…送ってくよ」

「え…あ、あの………………」

「待ってて。仕事家に持って帰るから。」

「いや…あの!だ、大丈夫ですよ?一人で帰りますっ」

「女子を一人で帰らせるわけには行かないから…待っとけ!校門で待ってろ!すぐ迎えにいくから」

「………は、はい…」

私は先生の言う通りに校門の前で待っていた。

「お待たせ…ほら、車乗れ!」

「は、はい…………」

私は後部座席の
ドアに手をかける。

「おまっ、お前なぁ!普通助手席じゃね?」

「へ?」

「なにとぼけた声出してんだよ…いいから、前乗れ!」

「はい!」

車に乗り込むと先生の匂いでいっぱいだった。
その爽やかな香りは私の緊張を和らげる…………………はずもなく……
先生が隣に乗り込むと私の心臓は口から飛び出そうになっていた…

「瀬川の家結構遠いっぽいなー。」

「あ…まぁ、車で20分くらいですよ?」

「そうか…………………………」

何か話さなくちゃ…
でも…………
緊張して………………………

ふと横を見ると先生がハンドルを握って前を見ている。
横顔凄まじくかっこイイ…………
そんな私の視線に気づいたのか先生は顔をかすかに赤めていた………

「見すぎ。」

「あ、あぁぁあ…ごめんなさいぃぃ」

「いや………いいけど…さすがに照れるわ。」

「本当にすいませんっ!あの!つい…」

「ついって何だよー、お前本当に面白いよなー。超気に入った!」

あ、気に入ってくれたんだ……
嬉しい!
素直に嬉しい!

「ど、どした、急にニヤニヤしやがって……………怖いぞ?」

「え゛………ニヤニヤしてました?」

「自覚なしかよ…………やべぇぞ。お前の今の顔…激ニヤニヤって感じ。」

そんなぁ……
完全に顔に出てたなんて…………
私としたことが…!

あー。そんなことしてたら家に着いちゃう!
帰りたくない!
先生ともっとおしゃべりしたいー!
このまま時間よ止まれーーー!

………………そんなわけあるわけない。
着いたよ。着いてしまったよ。

「ここでいいか?」

「あ…はい…………」

「じゃあな…」

「あ、ありがとうございました!」

「こちらこそありがとな!明日化学あるから絶対学校来いよ?」

「化学なくても行きますって…………!」

「あ、それもそーか!まぁいいや、とりあえずお疲れさん!おやすみなー」

「おやすみなさい!」

そう言うと先生は帰って行った………

まぁ………気に入られ大作戦はひとまず成功!?かな♥

< 12 / 39 >

この作品をシェア

pagetop