大人になりたい
「とりあえず、瀬川は町田先生と一緒にパンフレットの枚数確認してくれるか?」

え…なんで町田先生と一緒に…………

「瀬川さぁん!助かるわぁ!頑張りましょうね♥」

「あ、はぁ……。」

無言で作業を進めていく。
なのに…なんで町田先生はテンション高いの?

「あの………町田先生……」

「なぁに?」

「な、なんでテンション高いんですか?」

「…それはねぇ、櫻田先生から相談されたからよー!私櫻田先生のこと好きなのよ!あ、これ内緒よ?」

……………………。
彼女なんですけど………なんて言えるわけもなく………………。

つか、生徒に先生のこと好きって言っちゃっていいの?

「櫻田先生ね、オトナっぽい人がタイプなんですって♥まさに私よねっ!」

…………………。
なんか、まるで私が子供って言われてるみたいで…すごく嫌だ。
もしかして…この人………私が先生と付き合ってること知ってるとか…?

「まぁ、先生が今フリーだから狙ってるのよ?」

…それはないか…………。

「瀬川さん?大丈夫?さっきからぼーっとしてるけど?」

「あ、大丈夫です、あの…相談って…?」

「あ、やっぱり気になるぅ?それはねぇ、…………恋のことよ!」

は?
こ、こい?コイ?恋??

「恋ですか?」

「ぇ、えぇ、」

まさかね…先生がこの先生に恋の相談はないよ…。
………………………。

「瀬川ー、町田先生、終わりました?」


突然先生に声をかけられて肩が震える。

「何、そんな驚く?」

「ご、ごめんなさい…」

「先生ぇ、数えるの終わりましたよぉ♥」

「あ…町田先生…ども。瀬川、今日は遅いから帰りなさい。」

「はぁい…。」

気になる………。
私が職員室に入ったとき確かに町田先生と何か話してたし………。
先生のことをジーッと見つめる…


「…瀬川、帰らないのか?」

「あ、か、帰りますっ!」

いそいで職員室を出ようとしたら、櫻田先生がすっと近づいて
小声で

「ちょっと駐車場で待っとけ。送るから。」

と言って職員室の奥に消えた。


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