大人になりたい
ふふふ…

あんなこと言われてニヤけないでいられるわけないよ…。

私は先生の言うとおり駐車場で待っていた。


チャリッ)

あ…先生の鍵をまわす音。

「ほら!帰るぞ!」

背後から愛しい人の声。

「はぁい!」

助手席のドアをあけてくれる。

「ありがとうございます…」

先生は後から運転席に乗り込んで

「さぁ、行くか。」

と言ってエンジンをかけた。

…………………………。
『恋のことよ!』
さっきの町田先生の声がふと蘇る。

きになる……

「なに、さっきからずーっと俺のこと見てるけど?」

「へ?」

「あ、俺の顔見て惚れた?」

「ほぇ?」

「大丈夫か?」

「あ、あぁぁあ!あの!見てないです!あの、…な、な、なんでもないです!」

「プッ)お前…慌てすぎ。…………あと、敬語やめろ。夏希?」

「ご、ごめんなさい…じゃなくて、ごめん…………」

「で?何考えてた?」

「いや、…………何も…ない……」

「嘘つくなよ?俺に嘘つくとか100年早い。」

………………………。

………………………………………………。


ずっと黙ってる私を心配したのか先生は近くのコンビニに車をとめた。

「け、慶太…?」

「何かあったんなら言え?」

「なにも…ないよ…泣」

おかしい。泣くな。こんなことで泣いてたら変だと思われちゃう。

「夏希…俺には隠し事なしだぞ?」

「け…慶太は…………」

「ん?」

…………………。

「慶太は………町田先生が好きですか?」

「は?」

慶太はキョトンとしている。

「大人っぽい人がタイプ?恋の相談って何?あの…………私は子供?」

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