大人になりたい
第8章★タカラモノ★

放課後。

あたしは一人で教室に残っていた。

クラスの飾り物をひたすら作ってるだけ。

「はぁ………………。」

思わず声がもれる。

ガラッ…

あ!慶太…………じゃない………。

「おい、まだ残ってたのか!さっさと帰れっ!もう生徒の下校時間はすぎてんだぞ!」

げ…………でた。
生活指導の中澤先生………。
怒るとめっちゃ怖いことで有名な人。

「あ、すいませんっ!作業してたら時間忘れちゃって……………」

「すいませんじゃすまないだろ。もうこんなに暗いんだし、帰り道に何かあったらどーするんだよ!」

「あ、はい、あの、もう帰るんで。」

「………気をつけろよ?」

「はーい!……あの……つかぬことをお聞きしますが……………職員会議って、終わりました?」

「は?そんなことお前に関係ないだろう。」

「いや、あのぉ……………」

「まだ終わってない。さっさと帰れっ!」

やっば、
「はいぃ!すいませんでした!さよーなら!」

私は中澤先生から逃げるように教室を出た。


うわっ……真っ暗……。

でも慶太を待ってなきゃ……


校門の前で待っていると一台の白いバンが私の前に止まった。

そして……

勢いよく2人の男が車から降りてきて……

私の腕を引っ張って車に乗せた。

「いやっ、ちょっと!離して!!」

「誰が離すか。おとなしくしとけば怖くないから。気持ちいいよ?」

いやっ、いや……

口を手で塞がれて声をだすことも出来ない。

必死に抵抗するけど車の中にはもう一人男がいて……
いくらなんでも男3人で抑えつけられたら何も出来ない。

私………

この人達に…………犯されるの?

ゾクッ……

背筋が凍りつくような恐怖が私の身体をかけめぐる。

明らかに男たちの目が私を舐めるように見てくる。

嫌だ……
いや。
いや。イヤ。いや。嫌だ。

慶太……お願いっ!助けてっ!

私の目からは涙が溢れ出す。

「泣かないのー、泣いても誰も助けてくれませんよー?」

怖い。

「気持ちよくしてあげるね。」

そう言って私の制服を器用に脱がせる。

「いやっ!」

隙をついて叫んで見るけど……
手足を抑えられて
動けない。

嫌だ……

「お願いっ!やめてぇぇえ!いやだぁぁあ!」

「んー。うまそうな身体。」

「いやぁぁあ!」

男の身体が近づいてきて……
胸を揉まれる。

「っいゃ、いゃぁぁぁ……!」

その瞬間。

ピリリリ……

携帯が鳴った。
私のだ。

ちらっとディスプレイを見ると

慶太

の文字。

お願い、助けて。
慶太。
お願い……。

お願いっ!

「慶太ぁ!助けてぇ!」

私は必死に叫んだ。

絶対外にまで聞こえてるはず!

「うるさい!黙れ。聞こえちまうだろ!」

……ほら、近くに人が来るかもしれないんだ。

「慶太ァ!!!助けてぇ!」

「うるせっつてんだろっ!殴られてぇのか!」

やばい。
殴られるっ………………

バキッ)

え?

その音と共に男たちは倒れ出す。
殴られたのは……私じゃなく、男たち。

??

目の前には息を切らした……………………


慶太がいた。

「夏希っ!大丈夫か!!と、とりあえずこれ着て逃げるぞっ!」

慶太に抱き抱えられて
車から降りる。
近くに慶太の車を見つける。

「……………………うっ、ふぇっ……ふぇっ……うーっ」


< 37 / 39 >

この作品をシェア

pagetop